飼育者の皆様へ
今日、鶏などの家禽の飼育をする場合、遵守しなければならない法令や基準(家畜伝染病予防法、飼養衛生管理基準、動物の愛護及び管理に関する法律、その他一般的な生活活動において遵守する必要がある法令や基準)があることにご留意ください。これらの法令や基準は、産業目的で飼育される場合だけでなく、愛玩目的で飼育される場合にも例外なく適用されます。
これらの法令や基準は、主として飼育されている家禽相互の感染症蔓延による健康危害を防止する目的で定められているものですので、ご自身の飼育している家禽はもちろん、まわりで飼育されている家禽の健康危害防止のためにも重要なポイントが示されていますのでしっかり遵守するようにお願いいたします。
感染症予防と危害の拡大防止をするうえで、最も重要なことは、感染症を発症した動物の移動および他の動物との接触を制限することです。ほとんどの感染症の原因となる微生物は、感染症を発症した動物の分泌物や排せつ物と接触することで拡散・感染していきます。
鶏は体の具合が悪くなっても初期段階ではほとんど症状を示しません。また、末期状態になる直前まで症状が軽いように見える場合も少なくありません。このような特性が感染症の蔓延を助長する要因になることが少なくないことから、原則として普段の飼育単位となっている群または個体は、他の群または個体と接触させる機会のないようにする必要があります。
やむを得ない事情から異なる飼育単位間での接触が生じる場合は、接触前の相互の健康状態を評価し、また、接触後の相互の健康状態も注意深く観察し続け、異常が認められた時は、早急に適切な措置を講じていくことが大切です。この措置においても、動物を移動させることは原則として避けなければなりません。
獣医師の診察を希望する場合も、往診を依頼してください。具合の悪くなった動物を移動させてはいけません。また、鶏の場合は、見た目に具合が悪くなっている状況はすでに末期状態であることが少なくありません。獣医師の診察によって措置をおこなっても回復することはほとんどありません。措置をおこなうことで不必要なストレス負荷になることが多いですので、環境を調節して安静にして少しでも当該動物が楽になるようにしてあげることが得策です。